「いびき」や「苦しそうな呼吸」の悩み、手術で変えられる未来があります
みなさんこんにちは!
今日は病気に関するお話です。
フレンチブルドッグやパグ、シーズーといった鼻の短いワンちゃん(短頭種)と暮らしている方から、こんな相談をよくいただきます。
「うちの子、いびきがすごくて……」 「寝ているときに呼吸が苦しそうなんです」
診察室で、「この子の個性だと思ってました」「鼻が短いから仕方ないですよね?」と仰る飼い主様も多いです。でも、獣医師の視点から言わせてください。それ、決して「個性」だけではないかもしれません。
今日は、愛犬の呼吸を劇的に楽にする「外鼻孔(鼻の穴)拡張手術」について、少しお話しさせてください。
1. なぜ、短頭種は呼吸が苦しいのか?

まず、彼らの鼻の構造についてです。
彼らは「短頭種気道症候群」といって、呼吸がしにくい構造になりやすい傾向があります。一番分かりやすいのが、鼻の穴が極端に狭い「外鼻孔狭窄(がいびこうきょうさく)」です。
想像してみてください。細いストローを鼻にさして、そこから一生懸命息を吸い込んでいる状態を。
人間でも苦しいですよね? 激しい運動をしていなくても、彼らは常にそんな「重労働」を鼻の穴で強いられているのです。
2. 「いびき」は、決して「楽な証拠」じゃないんです

「いびきをかいて寝ているから、熟睡できてるんだな」と安心されている方もいますが、医学的にはちょっと逆なんです。
いびきというのは、空気が通りにくい場所を無理やり通る時の「振動音」です。つまり、呼吸の通り道で空気が激しく抵抗を受けている証拠なんですね。
これが続くと、心臓への負担になったり、睡眠不足になったり、暑さに弱くなったりと、愛犬のQOL(生活の質)を下げてしまう原因になります。
3. 外鼻孔拡張手術ってどんなこと?

当院で行っている「外鼻孔拡張手術」は、狭くなった鼻の穴を広げて、空気の通り道を物理的に確保する手術です。
イメージとしては、ストローを太いものに変えてあげるようなもの。今まで喉の筋肉をフル回転させて頑張っていた呼吸が、手術後はぐっと楽になります。
- ☆メリット
- ・呼吸音が静かになる
- ・お散歩や遊びをもっと楽しめるようになる
- ・夏場の熱中症対策になる
<術前写真>
鼻の穴が縦に細く、閉じている状態です。これでは常に苦しいはずです
4. 手術を決断するタイミング

「手術なんてかわいそう」と思われるかもしれません。でも、呼吸器の問題は放っておくと、年齢を重ねるごとに悪化しやすいんです。 もし可能なら、去勢や避妊手術のタイミングに合わせて一緒に検討されるのもおすすめです。
<術後写真>

手術により鼻の穴が大きく広がりました。術直後は腫れがありますが、これでとても呼吸が楽になります!
5. 飼い主様へのお願い
愛犬のいびきや呼吸の荒さは、単なるクセではなく「呼吸が苦しいよ」というサインかもしれません。
「ただ手術をする」ことだけが目的ではありません。その子が、これからもずっと笑顔で、楽に呼吸できるように……。そのために何ができるかを、一緒に考えさせてください。 ちなみに、猫ちゃんでも同様の手術は可能です。気になった方は、診察時に気軽に聞いてくださいね。
編集後記
この手術の後に飼い主様から「先生、夜が静かすぎて心配になって見に行っちゃいました!」なんて言われると、本当にこの仕事をやっていて良かった!とやりがいを感じます。
今日はちょっと真面目な話でしたが、またローズちゃん(家庭菜園のローズマリー)の成長記録も投稿しますね。
次回は「軟口蓋過長症」という、これまた短頭種特有の呼吸の問題についてお話しする予定です。
またブログでお会いしましょう!

