犬や猫の耳のトラブルは、皮膚疾患と並んで動物病院への来院理由の中でも特に多い症状のひとつです。
「耳をしきりにかく」「頭をふる」「耳の中が赤く臭う」「黒っぽい耳垢が出る」など、耳の病気は見た目の不調にとどまらず、ワンちゃん・ネコちゃんが、なんとなく落ち着かない・ぐっすり眠れていない・触られるのを嫌がるなど、日常生活の質にも大きく影響します。
耳の症状は、細菌や真菌の感染、寄生虫、アレルギー、耳道の構造的な要因、皮膚疾患の波及など多様な原因が複雑に絡み合うことも少なくありません。
当院では、症状の背景にある「本当の原因」を丁寧に見極め、ワンちゃん・ネコちゃんが快適に過ごせるよう、適切な耳科治療を行っています。
耳をかく・頭をふる、耳の中の赤み・腫れ、耳垢の増加・色やにおいの変化、 耳だれ、耳をさわると痛がる、頭が傾く、聞こえが悪い、 耳まわりの脱毛・かさぶた など
耳の病気は、表面的な処置だけでは再発を繰り返しやすい疾患です。耳道の奥まで正確に状態を把握し、適切に汚れや分泌物を取り除くことが、治療の成否を大きく左右します。当院では、専門性の高い検査機器と独自の洗浄手技を組み合わせた診療体制で、根本からの改善を目指しています。
耳の奥までしっかり診察
当院では耳科診療にビデオオトスコープを導入しています。ビデオオトスコープは、耳道の奥(鼓膜付近まで)をカメラで拡大しながら観察できる検査機器です。肉眼では確認しきれない耳道内部の炎症・耳垢の状態・鼓膜などを、モニター映像でご一緒にご確認いただけます。
実際の状態を映像で見ながら、現在の症状や治療について丁寧にご説明いたします。
カテーテル洗浄
耳の洗浄は、一般的にはコットンや綿棒を用いた方法が行われますが、表面の汚れしか取り除けず、また耳垢を奥に押し込んでしまい余計に耳の状態を悪化させるリスクのある処置です。
当院では、ビデオオトスコープで耳道内を確認しながら、適切な長さのカテーテルを用いて洗浄液を耳道の奥まで届かせるカテーテル洗浄を実施しています。耳道の深部に残った汚れを洗い流すことで一般的な耳洗浄より効率的に耳垢を洗い流し綺麗にできます。また点耳薬も隅々まで浸透させやすくなりお薬の効果を最大限に発揮出来ます。
▶耳の洗浄の様子を、動画でご覧ください
①洗浄前
②洗浄液注入のみ
洗浄液を入れただけでは耳垢がふやけるだけで取れていません
③コットン洗浄のみ
一般的な洗浄では耳の奥までキレイになっていないことがわかります
④カテーテル洗浄
当院のカテーテル洗浄では鼓膜の前までスッキリキレイ!
耳の病気は、表面的な処置だけでは再発を繰り返しやすい疾患です。耳道の奥まで正確に状態を把握し、適切に汚れや分泌物を取り除くことが、治療の成否を大きく左右します。当院では、専門性の高い検査機器と独自の洗浄手技を組み合わせた診療体制で、根本からの改善を目指しています。
犬のよくある皮膚の症状
| 耳のトラブル(症状) | 関連が疑われる耳の病気 |
|---|---|
| かゆみ・ しきりにかく | マラセチア関連性外耳炎、 細菌性外耳炎、 耳ヒゼンダニ症、 アレルギー性外耳炎 |
| 頭をふる・ 頭をかしげる | 外耳炎の悪化、 中耳炎、 異物の混入 |
| 耳の赤み・ 腫れ | 各種外耳炎、 接触性皮膚炎 |
| 耳垢の増加・ においの変化 | マラセチア性外耳炎、 細菌性外耳炎、 脂漏性外耳炎 |
| 耳だれ (分泌物) | 細菌性外耳炎、 マラセチア性外耳炎、 中耳炎、 耳垢腺腫 |
| 耳まわりの脱毛・ 痂皮 | アトピー性皮膚炎の波及、 皮膚糸状菌症 |
| 耳介の腫れ・ 血腫 | 耳血腫 (外耳炎が原因のことも) |
猫のよくある皮膚の症状
| 耳のトラブル(症状) | 関連が疑われる耳の病気 |
|---|---|
| 黒い耳垢が大量に出る | 耳ヒゼンダニ症、 マラセチア関連性外耳炎 |
| 頭をふる・ 耳をかく | 各種外耳炎、 耳ヒゼンダニ症、 アレルギー関連 |
| 耳の赤み・ 炎症 | アレルギー性外耳炎、 好酸球性肉芽腫症候群、 細菌性外耳炎 |
| 耳の中のしこり・ ポリープ | 炎症性ポリープ、 腫瘍性病変 |
| 耳まわりの脱毛・ かさぶた | 皮膚糸状菌症、 自咬による損傷、 アトピー性皮膚炎の波及 |
| 頭が傾く・ ふらつく | 中耳炎・ 内耳炎 (早急な受診が必要) |
1. 問診・視診
症状が出始めた時期、生活環境、これまでのケア方法、過去の耳トラブルの有無などを詳しく伺います。耳介から耳道入口を丁寧に観察し、においや分泌物の状態を確認します。
2. 耳の検査(耳鏡検査・ビデオオトスコープ検査・耳垢検査など)
ビデオオトスコープ検査/耳垢顕微鏡検査(細菌・真菌・寄生虫の確認)/細胞診必要に応じて細菌培養感受性試験/画像検査/(中耳炎が疑われる場合) など
3. 原因に応じた治療
カテーテルによる耳道洗浄・点耳薬・内服薬・食事療法・スキンケアなどを組み合わせ、症状や耳道の状態に合わせた治療を行います。
4. 再発予防・定期ケア
耳の病気は再発しやすいため、長期的に無理なく続けられるケアをご提案します。垂れ耳・脂漏体質・アレルギー体質など、再発リスクの高い子には定期的な耳道チェックをおすすめしています。
■外耳炎
耳道(耳の入口から鼓膜の手前までの部分)に炎症が起きている状態の総称です。犬猫の耳科疾患の中で最も多くみられ、原因によって細菌性・マラセチア性・寄生虫性・アレルギー性などに分類されます。耳をしきりにかく、頭をふる、耳道の赤み、耳垢の増加、独特なにおいなどの症状がみられます。
治療は原因に応じた点耳薬・内服薬の投与に加え、耳道に蓄積した分泌物を取り除く洗浄処置が重要です。当院では、ビデオオトスコープでの耳道内確認とカテーテル洗浄を組み合わせ、耳道の奥まで的確に処置を行います。
▶ビデオオトスコープを用いた検査動画
前半が正常側、後半が外耳炎を起こしている側です。
■マラセチア性外耳炎
皮膚や耳道に常在するマラセチア(酵母様真菌)が、湿度や皮脂の増加などをきっかけに過剰に増殖して起こる外耳炎です。ベタついた茶褐色の耳垢、独特の甘酸っぱいにおい、強いかゆみが特徴です。抗真菌剤の点耳・耳道洗浄・スキンケアで治療します。
■細菌性外耳炎
ブドウ球菌や大腸菌、緑膿菌などの細菌が増殖して起こる外耳炎です。膿のような耳だれや赤み・腫れがみられます。重症例や難治例では、細菌培養感受性試験を行い、原因菌に有効な抗生剤を選択して治療します。
■耳ヒゼンダニ症(耳疥癬)
耳道に寄生するミミヒゼンダニによる外耳炎です。乾いた黒っぽい耳垢が大量にみられ、強いかゆみを伴います。子犬・子猫や多頭飼育環境で発生しやすく、駆虫薬による治療を行います。
■アレルギー性外耳炎
食物アレルギーやアトピー性皮膚炎を背景に、耳道にアレルギー反応が起きて慢性的な外耳炎を繰り返します。耳の症状だけでなく、皮膚全体のかゆみや赤みを伴うことも多くみられます。基礎疾患の管理と並行した長期的な治療が必要です。
■中耳炎・内耳炎
外耳炎が悪化して鼓膜の奥にまで炎症が及んだ状態が中耳炎、さらに奥の内耳に達した状態が内耳炎です。頭が傾く・ふらつく・うまく歩けないなどの神経症状がみられた場合は早急な受診が必要です。画像検査による診断と、長期的な抗菌薬治療を行います。
■耳血腫
耳介に血液が溜まり、耳がぷっくりと膨らんでしまう病気です。外耳炎による強いかゆみで頭をふったり耳をかいたりすることがきっかけとなることが多く、根本にある外耳炎の治療と並行して、血液の除去や薬物療法を行います。
■耳道の腫瘤・ポリープ
耳道内に良性のポリープや腫瘍ができることがあります。慢性的な外耳炎の原因となったり、耳道を塞いで難聴の原因となったりすることがあります。ビデオオトスコープで状態を確認し、必要に応じて外科的処置を検討します。
家庭でできるケアも大切です
日々の耳まわりの観察、湿気がこもらない環境づくり、体質に合った食事などが耳の健康維持に役立ちます。ただし、耳の病気は原因が複雑で家庭ケアだけでは改善が難しいこともあります。
綿棒での耳掃除は、かえって耳道を傷つけたり耳垢を奥に押し込んでしまうことがあるため、当院ではおすすめしておりません。気になる場合はご相談ください。
耳をかく・頭をふる・においや耳垢の変化が続く場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
当院では、生活に無理のない治療計画をご提案いたします。早めの相談が、ペットの健やかな毎日につながります。