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  急患犬ハッピーさんの巻 2009年12月31日~2010年2月6日  
   
12.31  午前中に12歳雄のシェルティー、ハッピーさんが運び込まれました。
   昨日の夜から嘔吐を繰り返し朝方大量の血便を排出したそうです。
   早朝、隣の市の動物病院で緊急の検査と処置をしてもらったとのことですが、
   来院時は意識レベルが低下し血圧も低下しており危険な状況と思われました。
   点滴をするのに必要な留置針はすでに取り付けてあり、血液検査とレントゲン検査の
   結果も持参して頂いたので、すぐさま治療を開始することができました。
   ヒストリー、症状及び血液検査の結果から出血性胃腸炎または食中毒を考えました。
   夕方には容体は若干改善し立ち上がれるまでになりましたが、日中は嘔吐と血便を
   繰り返していました。
   吐き気は夜中も続き、朝まで嘔吐を繰り返していました。吐き気止めの薬を使っても
   十分な効果が得られてないよう。
   
1.1  朝から夕方にかけて4回嘔吐しましたが、下痢はおさまってきました。
ハッピーさん
ちょっと心細いけど、お父さんがいて
支えてくれるので安心です…。
2010.1.16撮影
*画像をクリックすると拡大します。
   危機的な状況は脱しつつあるように思われました。
   
1.2  少し元気が出てきたよう。
   日中は吐くこともなく夕方の面会時は大喜びしてワンワン吠えてました。
   お父さんもその回復ぶりにはとても喜んでおられました。
   ところがその晩、再び血混じりの液体をもどしました。
   血液検査を行ったところ、肝臓の数値(肝酵素)が初診日よりもかなり上昇
   しており、黄疸も少し出ていました。
   また膵炎が起こった時に上昇する可能性のある数値も若干異常値を示していました。
   膵炎についてはより精度の高い検査を検討しました。
   この時点での吐き気の原因として、
   
       1.重度の胃腸炎によるもの
       2.肝障害によるもの
       3.膵炎の合併の可能性
   
   などを考えました。これらを考慮して治療を継続しました。
   
1.3  嘔吐は昼間の1回のみ。
   一般状態にあまり変化はありません。
   しかし、このまま吐き気が続くと体力の消耗も気がかりです。
   これまでの治療法では完全に吐き気を抑えることが難しいのかもしれません。
   そこでお父さんに状況を説明し、より強力に吐き気に対して対処することを
   お勧めしたところ同意を得ることができました。
   
1.4  午前中、ご飯に少し味をつけたものを与えてみました。
   臭いは嗅ぐけどどうやらお気に召さないようで口をつけませんでした。
   その後1回嘔吐が認められましたが比較的元気そうに見えました。
   
1.5  新しい薬が到着したので早速投与しました。
   今日はまだ嘔吐はありません。
   夕方自家製スープを与えたところ少し飲んでくれました。
   元気も回復してきているよう。
   
1.6  自家製スープに鶏肉を混ぜて与えたところ食べてくれました。
   嘔吐も見られませんでした。
   この調子でいけばお父さんの希望どうり明日退院できるかもしれません。
   
1.7  今日は退院の日です。
   食欲あり。
   今日はドライフードも試してみたがそれも食べました。
   見た目はほぼ全快に近い様子です。
   ただ、血液検査では肝臓の数値(肝酵素)や黄疸の数値などは改善傾向を示して
   いるものの、正常値でないものもあり注意が必要と思われました。
   夕方お父さんが車で迎えに来られ、元気におうちに帰って行きました。
   
1.9  今日は退院後の検診の日です。
   おうちでの様子は至って元気とのことでした。
   ただ、昨夜1回嘔吐が見られたよう。
   身体検査では若干微熱がありました。
   昨日からは吐いていないのと食欲もあるので内服薬を出して経過観察することにしました。
   
1.16  食欲も元気もあるとのこと。
   見た目は健康そのものということでした。
   気になっていた吐き気もおさまっているよう。
   身体検査では体温が平熱に戻っていました。
   血液検査を行ったところ、胆管系、肝臓関連の数値も正常値に戻っていました。
   ただ、血球計算の結果をみると改善傾向にあるものの炎症がまだ残っている可能性があるため
   内服薬による治療は継続することにしました。
   
1.23  今日はお母さんが薬だけ取りに来られました。
   一般状態は良好とのこと。
   便は固まりつつあるがまだ完全ではないよう。
   
1.30  お父さんとお母さんに連れられハッピーさんが来院しました。
   とても元気で食欲もあるとのこと。
   ただ最近また下痢をしてしまってそれが気がかりのよう。
   血液検査を行ったところ肝臓の数値は問題なく血球計算でも6種類の白血球数は
   ほぼ正常値になっていました。
   下痢の原因は消化管がまだ完全に回復していないためと思われ、なるべく消化に
   良いものだけを与えてもらうことにしました。
   
2.6  電話で様子を伺ったところ、その後下痢は改善しもとの状態に戻ったとのことでした。
   これでハッピーさんの治療はひとまず終わりです。
   すっかり元気になってとてもうれしいです。
   
   最後に、診療日誌に闘病記録を公開することを承諾してくださったハッピーさんの
   ご家族に感謝いたします。
   ありがとうございました。